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TOKIUMの急成長を支えた社内横断プロジェクト「SAECO」、激動の3ヶ月間。

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支出管理プラットフォーム「TOKIUM」の導入をサポートするカスタマーオンボーディング部は、業務の増加により効率化が急務となっていた。そこで、開発部と共同で導入工数を削減するプロジェクト「SAECO」に着手。新機能の連続リリース、チームの新設および業務フローの改革を短期間で行なうことで、速やかに業務効率化が実現された。

お客さまと直接やり取りをするビジネス部門と、新機能を生み出す開発部門という垣根を超えて、全社一丸となって取り組んだ「SAECO」は、チームワークを大切にするTOKIUMだからこそ成功したプロジェクトの一例だ。プロジェクトリーダーとして全体を取りまとめた戸田と、エンジニアチームリーダーを務めた橘高に、当時の心境について聞いてみた。

MEMBER

  • 戸田 博夢

    カスタマーオンボーディング部(新卒)

    戸田 博夢

  • 橘高 俊

    開発部(中途)

    橘高 俊

業務が急増したカスタマーオンボーディング部

2023年初夏。インボイス制度の導入や電子帳簿保存法の改正といった後押しもあり、支出管理プラットフォーム「TOKIUM」のニーズが激増していた。直近4年間で契約社数440%増という凄まじい成長率。徐々に採用者数を増やしながら、全社員が喜びと誇りをもって多忙な日々を送っていた。

そんな中、特に業務が集中していた部署があった。それがカスタマーオンボーディング部だ。カスタマーオンボーディング部のミッションは、「TOKIUM」のご利用を開始するお客さまの導入支援をすることである。具体的には、現在抱えている課題や経理に関する社内フローなどを1社1社細かくヒアリングした上で、「TOKIUM」の機能説明、ニーズに合った活用方法のご提案、初期設定、お客さま自身で「TOKIUM」を使えるようになるまでの支援、それにまつわる事務作業を行なう。また、お客さまからのフィードバックを受けて、エンジニアチームに新規機能の開発依頼をすることもある。このように、カスタマーオンボーディング部の業務内容は多岐に渡っていた。

それらは、「TOKIUM」を安心してご利用いただくために欠かせないものであり、カスタマーオンボーディング部のメンバーもお客さまに寄り添えることに喜びを感じながら働いてきた。しかし契約社数が異例のスピードで増えたことで、導入業務も爆発的に増加。お客さま1社1社にこれまでと同じように細やかに向き合うためには、何かを変えなければいけないと、全員が感じるようになっていた。

そんな状況を打破しようと、意気込んでいるメンバーがいた。2020年4月に新卒で入社し、現在に至るまでカスタマーオンボーディング部で活動してきた戸田である。「このときは、入社してからの4年間で経験したことのない業務量でした。これからどんどん導入社数が増えていくことがすでに予想されていたので、このまま続けていくといつか無理が来てしまうかもしれないという感覚が、部署全体にありましたね」

目標は、3ヶ月で導入作業工数35%減

遡ること約1ヶ月。2023年5月に、戸田は突然、上司から声をかけられた。カスタマーオンボーディング部の業務改善が必要だと判断した経営陣から、導入作業工数を削減し、業務効率化を図る一大プロジェクト「SAECO」の立ち上げと、リーダーへの就任を打診されたのだ。戸田は、心の中でガッツポーズをした。

「この4年間、業務改善が必要だという想いが常に頭の片隅にあったんです。ずっとやりたくて、こんな機能があればもっと効率化できるはずだというアイデアがいくつもありました。ただやはり、お客さまが便利に使えるようになる機能の開発を優先したいという想いが強く、社内の業務改善のための機能開発にはなかなか手を付けられていなかったんですよね」

期間は3ヶ月。目標は、全体導入作業工数35%削減。主なメンバーは、戸田のほかにもうひとり。エンジニアチームのリーダーとして参加する橘高だ。それを知った戸田は、再びガッツポーズをした。なぜならば、橘高はカスタマーオンボーディング部の一部で「神」と呼ばれるほどカイゼンマインドの強いエンジニアとして有名だったからだ。

「もちろんやります!」戸田は即答し、やっと本腰を入れて業務改善に取り組める喜びを噛み締めた。

はじめの1ヶ月で、プロジェクト計画を整理

実際にプロジェクトがスタートしてから1ヶ月間は、プロジェクト計画の整理に充てた。まずはプロジェクトチームの調整だ。戸田と橘高にとって、大規模なプロジェクトも、業務改善プロジェクトもはじめての経験だった。「自分たちならやれる」という確信はあったものの、念のため、プロジェクト進行や業務改善の知見があるメンバーや部長陣をアドバイザーとして加えるなど、用意されていた全体的な体制を見直し、各々の役割も具体的に決めていった。

次に、プロジェクトの効果を正しく計測するため、現在の導入作業工数を細かく数値化。今の厳しい状況がどれほどのもので、どこに工数がかかっているのかを細かく分析することで、どのような施策を打つか、またそれによってどれほど改善したのかを明確にするためである。業務改善は今後も続いていく、続けていくべきプロジェクトだと考えていたからこそ、ここはしっかりと把握しておきたかった。

数値化によって、2つのことが見えた。一つ目は今の業務にはかなり改善余地があり、はじめは非常にチャレンジングだと感じていた導入作業工数35%削減という目標も、達成するだけの改善余地がありその見通しがたったこと。そして二つ目は、あと2ヶ月のプロジェクト期間内でそれを達成するのは、少し難しいかもしれないということ。

だが、2人はこの見通しを前向きに捉えていた。「具体的な数値目標が示されていたとはいえ、この3ヶ月という短い期間に全力投球して、業務改善のサイクルを会社に根付かせることこそが、本来のゴール。そう考えながら取り組みました」と、橘高は振り返った。

数値化して、特に導入作業工数がかかっている工程が明らかになったあとは、工数削減に繋げるために必要なプロダクト機能についてアイデアを出し合った。とても実施しきれない数のアイデアが出たが、優先順位を付けながら数を絞っていく。

決定したのは、初期設定作業を効率化する8つの機能開発への着手。このなかには、戸田が以前からあたためていたアイデアも含まれている。「期間内でやれるところまでやろう! やるしかない!」残り2ヶ月の段階で、ついに「SAECO」が本格始動した。

「SAECO」始動! 効率化のための新機能を続々と追加

通常、新機能を開発する場合はプロダクト部に所属するプロダクトマネージャーが開発の方向性を示し、それに沿って開発部のエンジニアがカタチにするという2部体制を取っている。しかし本プロジェクトでは、2ヶ月で8つの機能開発を行なうといったタイトなスケジュールを立てているため、橘高は自らエンジニアとして活動しながら、同時にプロダクトマネージャーの役割も担うことにした。ひとりで2役を担うことで、開発のスピード感を高める算段だ。

とはいえ、橘高ひとりでは到底間に合わないタスクの量。本来なら追加で数名の開発エンジニアをアサインしたいところだったが、ほかのメンバーは通常業務で手一杯。なんとか社内のエンジニアも数名手伝ってくれることになったが、想定を下回るリソースで進めることに変わりなかった。

「少し少ないけど、このメンバーで何とかするしかない! という感じで、駆け抜けましたね。人手が足りないので自分も手を動かしたいけど、そちらにリソースを割きすぎて指示や確認といったマネジメントがおろそかになるのもよくない。どこまで自分がやって、どこから任せるかという判断が難しかったです。また、タイトなスケジュールであるからこそ確実に進めたかったので、オーダーする前に自分の方でかなり開発の詳細を詰めておくということも徹底しました。当時のカスタマーオンボーディング部には負けると思いますが、こちらもものすごい業務量でした(笑)」

本格始動してからは、次々と新機能をリリース。そのたびに、カスタマーオンボーディング部のメンバーたちから「この機能、待ってた!」「これに困ってたんです!」という喜びの声が上がった。「チームのみんなの反応が、かなりモチベーションに繋がりました。期待に応えられるように頑張りたい、そう思いました」と戸田の顔がほころぶ。

やはりこのスピード感を維持できたのは、橘高の力が大きかった。プロジェクトメンバー内でも、一般的なエンジニアならこのくらいの開発工数だけど、「橘高人月※ならこれくらいでいける!」という謎の単位が生まれていたほどだ。しかし、当初追加を考えていた新機能のすべてをあと2ヶ月で追加して結果を出すという挑戦は、少し無謀かもしれない……そう考えた戸田は、もうひとつの作戦を並行して進めることを決めた。

※工数の数え方

チームの新設、業務フローの大改革

もうひとつの作戦とは、チームの新設とそれによる業務フローの改善だ。これまではカスタマーオンボーディング部の「フロントチーム」に所属する各メンバーが、お客さま1社1社のシステム導入を担当。多岐に渡る導入業務をほぼすべてワンストップで行なってきた。

それを戸田は、お客さまごとに細かくヒアリングを重ねながらカスタマイズする業務のみを「フロントチーム」に残し、全顧客に共通するシンプルな業務は「フロントチーム」から切り離そうと考えたのだ。

まずは初期設定作業や事務作業を専任で行なう「タスクチーム」を新設。そして次に、新卒メンバーを中心とした「プレオンボーディングチーム」も立ち上げた。このチームの役割は、運用定義リストや初期設定シートの事前準備資料の回収だ。このように、これまで「フロントチーム」が担っていた業務を3チームに分散することで「フロントチーム」の負荷を減らし、お客さまのサポートに充てられるリソースを確保。さらに「タスクチーム」や「プレオンボーディングチーム」といった専任業務を行なう少数精鋭のチームをつくることで業務を効率化し、全体の導入作業工数を削減することが目的だ。

しかし、この作戦がすべて順調に進んだわけではなかった。カスタマーオンボーディング部のメンバーから、「業務が急増している今、そこまで一気に変更して貴重なリソースを割くべきなのか」と慎重論を唱える声が多数上がったのだ。

確かに、今後の業務をスムーズにするための先行投資的な施策だとはいえ、チームの新設や業務フローの変更は大きな負担になることが確実だ。不安に思うチームメンバーの思いも理解できる一方、「今やるしかない!  今やっておかないと、もっと大変なことになる!」という戸田の思いが揺らぐことはなかった。戸田は全員が納得するまで根気強く話し合いを重ねた上で、あらためて協力を仰いだ。「一時的には負担もかかってしまうと思う。それでも、これがお客さまとチームのためになることを信じて、どうかついてきてほしい!」

想像通りハードな日々となったが、チーム一丸となって助け合いながら、着実に作戦を推し進めていった。

他部署メンバーの協力を得て効果を測定

「SAECO」が猛スピードで進行していく中で、戸田と橘高はあることに頭を悩ませていた。それは、来るタイムリミットにおいて、どのように「SAECO」の効果を実証するか、ということだ。たった3ヶ月、実質2ヶ月しかないなかで、統計学的に意味のあるデータを集めるということは難しい状況だった。新機能のリリースも、期限ギリギリまで続けるつもりだ。

2人が考えたのは、短期間でできるだけ多くのデータを集めるゲリラユーザビリティテストという方法だ。社内チャットで参加してくれるメンバーを募り、新機能リリース前とリリース後のUI+機能を使ったABテストで、工数がどのくらい短縮されたかというデータを集めていった。このような手法を試すのははじめてであった上に、ちょうどどの部署も忙しくなってきた時期とも重なっていたので、被験者があまり集まらないかもしれないという心配もあった。しかし2人の予想に反して、ものすごいスピードで全社から被験者が集まってくれたのだった。新機能をリリースするたびに10名以上。忙しい業務の合間を縫って、営業部、総務部、開発部……と、さまざまな部署から多くのメンバーが協力してくれた。

橘高はこれこそTOKIUMらしさだという。「TOKIUMのメンバーは、プロダクトや会社の成長を私事として考えている人ばかり。他の部署でも、困っていたら何とか助けようとしてくれるんです。今回もめちゃくちゃ助かりました!」

実は橘高は、「SAECO」の進行状況を定期的に社内チャットで発信するようにしていた。「こんなプロジェクトをやります!」という宣言からはじまり、新機能を発表する前には「こんな機能が出たら、めっちゃ幸せじゃないですか!?」と期待感をあおった。そしてもちろん「新機能リリースしました!!」という投稿も常にたくさんの絵文字を付けて、ワクワク感を演出した。ただ単に、プロジェクトを盛り上げようという想いで行なっていたことだったが、それが結果的に社内のみんなを巻き込み、協力してくれるという状況をつくっていった。

「社内チャットに投稿するたびに、すごくたくさんのリアクションをいただきました。みんながお祭りごとのようにとらえてくれて、一緒に盛り上がってくれるのが嬉しかったし、楽しかったですね」

新機能リリース時の社内チャットツール内のリアクション

そうして集めたデータを元に導き出した、新機能の追加による導入作業工数の削減率は、3ヶ月で「32%」。目標「35%」にはわずかに届かなかったものの、大健闘。確実に効果を実証することができた。そしてさらに3ヶ月後の10月、チームの新設や業務フローの改善による効果も併せて改めて細かく効果を検証したところ、なんと結果は50%減。「SAECO」が大きな成果をもたらしたことを証明した。

「SAECO」の成功から感じたこと、学んだこと

チームリーダーを務めた戸田は、この3ヶ月間をこう振り返る。「業務負担が大きいなかで協力してくれたカスタマーオンボーディング部のメンバーはもちろん、『ぜひ協力したい』と快く手を挙げてくれた他部署のメンバーたちがいたからこそ、『SAECO』が成功し、カスタマーオンボーディング部の業務負担を大きく軽減させることができました。本当に感謝しています」

「プレオンボーディングチーム」の新設に関わった新卒メンバーについても、「まだ入社して日が浅い中、チームの立ち上げに携わるということはかなり大変だったと思います。膨大な数のお客さま1社1社の課題を抽出しカイゼンにつなげていく、といったことと並行しながらチームの骨格をつくっていくんですから。期待に応えようと、一生懸命頑張ってくれたことが嬉しかったです」と語る。

橘高は、プロジェクトのスピード感が刺激的だったようだ。「課題からアイデアを出して、リリースするまでのスパンがものすごく凝縮されていました。常に並列処理をして、どんどん新しい機能がリリースされるという状況が、大変でしたが楽しかったですね」

またプロジェクトのゴールについても思うところがあったようだ。「数字で効果を示して納得してもらうことももちろん大事ですが、今回は社内を取り巻くムードのようなものも含めて、プロジェクトの効果、価値を共有できたことが、とてもよかったと思っています。プロジェクトの真の目的は、みんなのハッピーです。それは単純に数値化できるものではないんですよね。今回、どのように発信すればこのプロジェクトが成功に近づいているか、会社にとって前向きな変化を起こせるかという点も意識して取り組みましたが、大成功! といったところでしょうか」

更なる効率化に向けて、「SAECO」の継続が決定!

2023年の5月から7月の3ヶ月間で、プロジェクト「SAECO」は一旦クローズ。とはいえ、これだけの期間でこれだけの効果が出たのだから、ここで終わるのはもったいないというのが社内の総意だった。そこで、より効率的な導入業務の実現に向けて「SAECO」の継続が決定。プロジェクトリーダーを務めるのは、引き続き、カスタマーオンボーディング部の部長となった戸田だ。

「今後もさらなる導入業務の効率化を図り、あらかじめ業務負荷がかかっているチームがどこかを予見して組織の体制を整えるようにしたいです。また効率性を重視しつつも、TOKIUMが大切にしているお客さま1社1社に丁寧に向き合ってサポートをするという品質の部分も磨いていき、両軸で進んでいきたいと思います」

橘高はというと、初期プロジェクトが終了したタイミングで開発部のエンジニアマネージャーに昇進。その後は、一歩引いた立場で見守ることとなった。「直接手を動かすことはなくなりましたが、今後も『SAECO』に関わらず、業務改善などのプロジェクトを進めやすい環境をつくっていきたいと思います。今回のプロジェクトでは、課題を発見するプロセスや開発優先順位の付け方を学びました。今後また業務が集中している部署があれば、それを早めにキャッチして、開発部として何ができるか、組織的な設計をしていきたいです」

「未来へつながる時を生む」という志を持つTOKIUMにおいて、『SAECO』はまさに社内に「時を生む」プロジェクトとなった。TOKIUMが「時を生む」ことで、お客さまが誰かのために、調べ、考え、挑戦するための時間が増えるように、『SAECO』によってお客さまと丁寧に向き合う時間や、新たな提案を考える時間が増えたのだ。

これからもさらにプロダクトや業務フローをブラッシュアップしていくたびに、TOKIUMの価値が高まっていく。『SAECO』は、そんな大きな改革の第一歩となった。

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