「志」や「カルチャー」を軸にした採用にこだわる代表・黒﨑。その理由と、目指す組織像とは。
支出管理プラットフォームを通して企業や個人の無駄な時間を減らし、「未来へつながる時」を生むサービスを展開するTOKIUM。代表取締役である黒﨑の現在の仕事は、その大半が採用関連だ。
新卒、中途採用、業務委託メンバーの面接や、就活イベントへの登壇はもちろん、気になる学生に会いに関西まで行ったり、人材紹介エージェントと自ら打ち合わせをしたりと、常に最前線で採用活動に取り組んでいる。
黒﨑が「志」や「カルチャー」を軸にした採用にこだわる理由とは? そして、TOKIUMがこれからも進化を続けていくなかで、どのような組織にしたいと考えているのか。その胸の内を聞いてみた。
MEMBER
代表取締役
黒﨑 賢一
INDEX
これから!というときに迎えた、組織崩壊のピンチ
TOKIUMが歩んできた歴史を振り返ると、個人向け家計簿アプリのサービスを提供していた2012年から2016年と、法人向けに支出管理クラウドを提供するようになった2016年以降に分けることができます。
まだ学生だった2012年に仲間と創業し、2013年の夏に個人向け家計簿アプリをリリースしたところ、半年足らずで10万人ダウンロードを突破。その後1億円の資金調達を行ない、約2年後の2016年には100万人を達成しました。そのころはもう、自分たちがつくったプロダクトがものすごく多くの人に届きはじめたというワクワク感。そして、憧れていたシリコンバレーのエンジニアドリームのようなものを突き進んでいる、そんな高揚感がありました。
「100万人を達成したから、収益化しよう」そう試みたものの、簡単にはいきませんでした。それならさらなる資金調達を……と考えましたが、意気込みもむなしく断られ続ける日々。ならばこれまで無料で提供してきた個人向け家計簿アプリのサービスを有料化するか、データ化技術を生かした法人向けの経費精算サービスに事業転換するか。どちらかを選択せざるを得ない状況に追い込まれていきました。
有料化か、事業転換か。その選択肢を示すと、約20名の社員が会社を去っていきました。残ったのは創業メンバーのみ。まさに組織崩壊です。
残念ながら会社を去ってしまったメンバーには、「家計簿アプリの事業がしたい」「無料であることにこそ価値がある」というそれぞれの想いがありました。私たちがバラバラになってしまったのは、志やカルチャーといった深いところではなく、目指す事業内容やサービス内容といった共通点で集まったメンバーだったからです。この出来事によって組織的にも精神的にも大きなダメージを受けましたが、同時に志やカルチャーの大切さに気付くことができました。
事業内容ではなく、「志」や「カルチャー」でメンバーを集めよう
組織崩壊を起こしたとき、本当はもうそこで会社を畳もうかと思いました。でも今もこうして続けられているのは、当時後押ししてくれた創業メンバーたちのお陰ですね。
その後は組織を立て直すことに尽力しました。結果的に事業転換することを決め、コツコツと法人向けサービスをつくりはじめました。広告宣伝費が捻出できないので、異業種交流会と称した集まりにたくさん参加しながら、1社1社地道に営業活動をする日々が続きました。低空飛行でしたが、少しずつお客さまが増えていくうちに自信が湧いてきて、本格的に法人向けの事業に転換。採用活動も再開しました。
失敗を生かして、今度は事業内容やサービス内容ではなく、会社の志そのものに価値を感じてくれるメンバーを集めることにしました。「未来へつながる時を生む」という価値のためなら、どんな事業でもやってみよう! と思ってくれる仲間たちと働こうと思ったんです。
集まったメンバーみんなで話し合い、会社の志を支えるためのビジョンやバリューも設定。TOKIUMは売り切り型のビジネスモデルじゃないから、ユーザーの満足度や成功、つまりカスタマーサクセスを追求し続ける必要があるよね、とか。The Model型の分業でやっていくから、チームワークが大事だね、とか。ITのプロダクトだし、法改正への対応も必要だから、すごく早く動かなきゃいけないよね、といった、事業が成功するために必要な要素。そして、メンバーが日頃から感じていたTOKIUMらしさや価値観を掛け合わせながら決定しました。今でもその軸は変わっていません。
また組織崩壊の原因のひとつとして、きちんと対話をする機会が少なかったということも感じていました。その反省点をふまえて、その後は頻繁に「1on1面談」を実施したり、社内の部活動に積極的に参加したり、新入社員とランチに行ったりと、一人ひとりと対話する時間をすごく大切にするようにもなりました。そうして相互理解が生まれていくと、「このメンバーだからこそ、どんな事業でも楽しめるし、挑戦できる」と思えてくるものです。
そしてTOKIUMならではのカルチャーを育み、浸透させるための部署「コーポレートカルチャー部」も新設。こういったことのひとつひとつが、組織の強さ、絆に繋がっていくと信じています。
今一緒に働きたいのは、20~30代の柔軟で前向きな人
このような経験や想いがあるからこそ、土日も惜しまず採用活動をしています。今TOKIUMにいるメンバーは、すべて私が面接をして、ぜひ一緒に働きたいと思った方たちです。この1ヶ月間でも、40名の方と会いました。これはもう半分、趣味のようなものです。今後どんなに組織が拡大していっても、採用活動の最前線で動き続けたいと思います。
私が一緒に働きたいと思うのは、話をしていて何か気づきを与えてくれるなど、人間としてすごく面白くて素敵な人。そんな人ばかりを採用しているから、社内の誰と話をしても面白いんですよね。「今、何やってるんですか?」「何に気を付けてるんですか?」「新しい発見とかありましたか?」など、他愛のない会話でも、それぞれの答えがものすごく面白い。好奇心がものすごく刺激されるし、話すたびに「この人は本当に素敵だな~」と思うんです。だからさまざまな部署の色んな席に行って、たくさんの人と話す機会をつくっています。
みんな、ほかの会社にいるよりも5年も10年も早いペースでさまざまなことにチャレンジしていて、「この人たちはきっとこれからも、面白い世界をどんどん切り開いていくんだろうな」と思いながら見ています。私よりも若い方がほとんどですが、何だか社内に先生……師がたくさんいるような感覚があります。それがすごく嬉しいんですよね。
新卒か中途採用かといったところに、こだわりはありません。でも今積極的に採用しているのは、20〜30代前半の若い方たち。やっぱりこの年代は、新しいことを学ぶ柔軟性が高い方が多いと感じるからです。私たちの仕事は、関連する法改正が多く、競争環境も年々変化します。組織が大きくなって新しい部門が増えると、対処しなきゃいけない課題も変わる。そんななか、学び直しに対して前向きであることは、非常に大切なポイントになると考えています。すでに得た経験や能力よりも、ポテンシャルを重視したい。仲間思いで学習能力が非常に高い人を求めています。
TOKIUMはこの4年間、年間で約2倍ずつ成長し続けています。これは、身体の細胞が50%ずつアップデートされているような感覚です。ぐんぐん育つ赤ちゃんみたいな。そんな今のTOKIUMの事業開発ステージと相性がいいのが、若い方なんですよね。自分の生き方やキャリアがまだ完全に固まり切っていない点も、マッチ度が高いと思っています。10年後はまた求める人材も変わってくると思いますけどね。
どんな危機もリカバリーできる組織にしたい
2021年10月ごろから、私自身が事業部を取りまとめることをやめ、本部制に変えました。それまでは私も営業をしたり、開発の指示をしたりしていましたが、各領域のヘッドを本部長にお任せし、私自身は一歩引く形に。それ以降、組織としての動き方がガラッと変わり、結果、会社がすごく伸びたんです。私の自尊心は大いに傷付いているんですが(笑)、それが正しかったなと思っています。
それによって空いた時間は、新規事業の検証や、既存のお客さまへのヒアリングといったインプットに充てるようにしています。採用活動にこれほど時間をさけるのも、このお陰ですね。
このように本部制に変えたことで、TOKIUMのなかに多くのリーダーが生まれました。平均年齢が30.5歳※と若いので、ほかの会社ではあり得ないくらい早くからマネジメントをお任せしています。今後ますます組織が拡大していくことを考えると、今会社にいるメンバー、今のタイミングで入社するメンバーは、将来的には巨大組織における中核的なリーダーとなる人たちだということになります。今いる約200人の下に20人、30人ずつの部下がついて、全体で4千、6千人以上の規模になっていく。だからこそ、私自身の上司になって欲しい人かどうか、尊敬できる人であるかどうかも重視していますね。学生時代に部活でキャプテンをしていたとか、地域活動を率先して行なっていたとか、そういうリーダーシップを持つ人が集まる会社であり続けたいと思っています。
こうして2016年の組織崩壊以降、「人」にとことんこだわりながら志を同じくする仲間が集い、ビジョンやバリュー、TOKIUMカルチャーを大切にしてきました。でも、それが本当に成功しているかどうかは、まだ検証できていません。その結果が分かるのは、将来TOKIUMが売上の停滞など、危機的状況に陥った瞬間だと思っています。そのときにこの組織が団結して、どのくらい迅速に、もしくは粘り強く再起できるか。それが答えになるはずです。危機に負けない、しなやかで強い組織を、これからも目指していきたいと思います。
※2024年3月1日現在
挑戦しているのは、社会を支え、世代を超えて残る仕事
近年、支出管理プラットフォーム「TOKIUM」をご契約いただいた企業さまの一覧などを見ると、数年前では想像できなかった規模の企業さまが増えてきていて、驚くことが少なくありません。たとえば全国の給食を支えている大規模な企業や、全国の通信インフラ設備を敷設している企業。今日うどんを食べた大規模チェーン店を運営する大企業も、TOKIUMのお客さまです。鉄道会社であるお客さまが運行する電車を降りた瞬間、目に飛び込んできた広告の6割くらいがお客さまだった……なんていうこともあります。
私たちは、ご契約いただいている「TOKIUM」を通じて、その企業の経費精算や請求書等の業務をまるっとお任せいただいています。もちろん別会社ではありますが、お客さまの企業に経理担当者として入社し、一緒に働いているような感覚です。そういった意味で、私たちがお客さまの事業を通じて社会全体を支えることができはじめている。私たちTOKIUMが、時間のインフラになりつつある。そんな変化を、確実に感じています。
私がTOKIUMでやりたいのは、ピラミッドやスカイツリーのように、世代を超えて残るような、自分の子どもや孫に誇れるような仕事です。世の中にとって革新的でユニークなものをつくって、何か大きな変化を与える仕事。それはやっぱり簡単にはいきませんし、時間もかかりますが、それに対してワクワクできる人、その過程にある困難をすら楽しんで、前向きに打ち込める人なら、TOKIUMの仕事は楽しいと思います。ぜひ一緒に働きましょう。
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STORY02
タイムリミットは1年半。「TOKIUM電子帳簿保存」開発の軌跡。
「TOKIUM電子帳簿保存」とは、2023年12月末に宥恕期間が終了した電子帳簿保存法の要件を満たした上で、あらゆる国税関係書類や取引関係書類を電子化して一元管理できるクラウドシステム。シリーズ累計導入社数2000社以上(2023年11月時点)を誇る支出管理プラットフォーム「TOKIUM」における、「TOKIUM経費精算」「TOKIUMインボイス」に次ぐ第3のサービスです。「TOKIUM電子帳簿保存」の立上げに携わった2名の責任者に、リリースまでの「苦悩」や「努力」、そして、プロダクトへの「想い」についてお伺いしました。
プロダクト部 (中途)
吉田 亨
営業部(新卒)
綿引 友麻
STORY03
MVP受賞者×人事部長が語る、TOKIUMでの働き方や好きなカルチャーについて。
TOKIUMでは社員の活躍を後押しするため、四半期に一度MVPを選出し、表彰しています。評価されるのは数字として表せる成績だけではありません。TOKIUMが掲げる3つのバリュー「Customer Success」「Move Fast」「Teamwork」を最も体現して活躍した社員を、具体的なエピソードとともに社員たちの手で選出するのが、TOKIUMのMVP賞の特徴です。今回は人事部長*の西山が2023年度のMVP受賞者3名を招き、受賞につながった仕事への取り組み方や、TOKIUMの魅力、今後の目標などについて語りました。
コーポレートカルチャー部(新卒)
西山 希
営業部(新卒)
山崎 加夏子
カスタマーオンボーディング部(中途)
相原 未来
プロダクト部(中途)
石井 洋平
STORY04
TOKIUMの急成長を支えた社内横断プロジェクト「SAECO」、激動の3ヶ月間。
支出管理プラットフォーム「TOKIUM」の導入をサポートするカスタマーオンボーディング部は、業務の増加により効率化が急務となっていた。そこで、開発部と共同で導入工数を削減するプロジェクト「SAECO」に着手。新機能の連続リリース、チームの新設および業務フローの改革を短期間で行なうことで、速やかに業務効率化が実現された。 お客さまと直接やり取りをするビジネス部門と、新機能を生み出す開発部門という垣根を超えて、全社一丸となって取り組んだ「SAECO」は、チームワークを大切にするTOKIUMだからこそ成功したプロジェクトの一例だ。プロジェクトリーダーとして全体を取りまとめた戸田と、エンジニアチームリーダーを務めた橘高に、当時の心境について聞いてみた。
カスタマーオンボーディング部(新卒)
戸田 博夢
開発部(中途)
橘高 俊